2025/05/25

Taiwan Today

政治

「強靭な国 世界へ前進」、蔡英文総統が国慶節祝賀大会で演説

2019/10/14
蔡英文総統は10日午前、総統府前広場で行われた「中華民国中枢及各界慶祝108年国慶大会」に出席し、「堅靭之国 前進世界」(強靭な国 世界へ前進)と題した演説を行った。(総統府)
蔡英文総統は10日午前、総統府前広場で行われた「中華民国中枢及各界慶祝108年国慶大会」に出席し、「堅靭之国 前進世界」(強靭な国 世界へ前進)と題した演説を行った。「中華民国中枢及各界慶祝108年国慶大会」は中華民国の建国記念日である「双十国慶節」(10月10日)の祝賀大会。108年は中華民国108年で、2019年のこと。
 
以下は談話内容の要約。
 
今日は中華民国108年の国慶節であり、この日は全国2,300万人のものです。昨年のこの日、国慶節に私はみなさんに、「台湾は今まさに時局の変化のさなかにある。国際貿易に関する情勢の変化と世界の政治情勢の変化はいずれも未来を挑戦に満ちたものとしている。我々は安定を求め、変化に対応し、進歩していくことで実力を育み、台湾を強くしていかねばならない」と話しました。
 
あっという間にまた1年が過ぎました。米中貿易戦争は続いており、我々と距離的に遠くない香港では現在、「一国二制度」の失敗により無秩序状態寸前の事態となっています。にもかかわらず中国は依然として「一国二制度台湾方案」を以って絶えず我々を脅しているほか、様々な言論による攻撃と武力による威嚇で、地域の安定と平和を脅かしています。
 
自由民主が挑戦にさらされ、中華民国の生存と発展が脅かされる時、我々は立ち上がり、それらを守らなければなりません。「一国二制度」に対する拒否は、台湾住民2,300万人にとって党派や立場の違いを超えた最大のコンセンサスなのです。
 
中華民国は台湾に聳え立って70年を超えています。この70年来、我々は共に様々な厳しい挑戦を経験してきました。我々は「八二三砲戦」(1958年8月に離島の金門県と中国大陸側の間で始まった砲撃戦)を経て、1996年の第三次台湾海峡危機(初の総統直接選挙を警戒した中国大陸から台湾北部・基隆市沖の海域にミサイルが撃ち込まれた)も乗り越えました。我々は足下にあるこの土地、そして我々の国家主権を共に守ってきたのです。
 
我々は国連脱退のパニックを経験し、度重なる国交断絶の圧力も受けました。しかし台湾の人々が世界に向かおうとする決意に変化は生じませんでした。1970年代のオイルショック、1997年のアジア通貨危機、2000年のインターネット・バブル崩壊、そして約10年前の世界金融危機(リーマン・ショック)。我々はそのつど危機を転機に変え、台湾の経済を前進させてきました。我々は「八七水害」(1959年8月7日から9日までに台湾中南部で起きた豪雨による水害)、「九二一大地震」(1999年9月21日に台湾中部を震源に発生したマグニチュード7.3の大地震)、「SARS騒動」(2003年の新型肺炎SARS大流行)、「八八水害」(2009年8月8日に台風によって台湾中南部・南東部などで起きた水害)も経験しました。しかし自然災害による試練も台湾の人々が生き抜こうとする意志を屈服させることは出来ませんでした。
 
これら共通の記憶は台湾人民の粘り強さを示しています。そしてこうした粘り強さがあったからこそ我々は「アジア四小龍」(アジアの4匹のリトルドラゴン。台湾・韓国・シンガポール・香港を指す)の一員となれました。この粘り強さにより、我々は民主化の困難な道のりを乗り越え、世界で最も重要な民主の模範となりえたのです。我々はこの道のりを共に歩んできました。ですから党派の違いにかかわらず、この土地で暮らしている人はみな互いを切り離すことは出来ないのです。中華民国は特定の人々の専売特許ではありません。台湾も誰かが独占できるものではありません。「中華民国台湾」という6文字は青色(国民党)でも緑色(民進党)でもなく、社会全体にとって最大のコンセンサスなのです。
 
我々は中国が台頭し、拡張しつつあることを目にしています。中国は権威主義体制で民族主義と経済力を結びつけ、自由民主の価値と世界秩序に挑戦しています。だからこそ、インド太平洋戦略の一角に位置する台湾は民主の価値を守る最初の防衛ラインとなるのです。中国はシャープパワー(権威主義国家が強引な手段で圧力をかけ、他国に自らの立場を受け入れさせるやり方)を用いて一歩一歩迫ってきます。しかし我々は、台湾が地域の重要なメンバーとして国際的な責任を果たしていかねばならないことを知っています。ですから我々は挑発も冒険もしません。理念の近い国々と協力し、台湾海峡が平和で安定している現状を確保し、一方的にそれが損なわれることを防ぎます。
 
これをやり遂げるには団結が必要です。台湾の社会ではかつて、エスニックグループや世代、宗教、党派の違いによる対立がありました。しかし対話することで、互いが受け入れられる最大公約数が見つけられるはずです。我々は自由民主の価値を断固として守らねばなりません。民主制度だけが得がたい自由を保障することが出来ます。そして、次の世代に自分たちの未来を決める権利を残してあげられるのです。
 
我々はこれからも台湾を大きく育てなければなりません。過去3年あまり、我々は経済構造の調整に努め、産業のレベルアップや変革、多元的な世界進出を後押ししてきました。また社会の公平性確保に努め、賃金の引き上げと減税、全面的なケアなどで経済成長の成果を全国民と共有してきました。今後は「長期介護十カ年計画2.0版」のレベルアップや育児・託児に関する補助拡大で人々の負担を軽減し、全ての人が良質なケアを受けられるようにすることが政府の継続的な努力方向となります。
 
我々はまた過去3年あまり、「国防自主」(軍備の自主開発・製造)と先進的な兵器の購入を推進し、軍の士気を高め、戦力の充実を図ってきました。自主開発した国産の新型高等練習機の原型機は先ごろ完成し、国産の艦艇も次々に配備されていきます。国土と自由民主を守っていくことは中華民国軍が担うべき責務です。
 
過去3年あまり、我々は国際社会に積極的に参与してきました。責任を果たし、貢献に前向きであることで、我々は地域の平和と安定を守る上で欠くことのできない善良なパワーとなっています。我々は引き続き理念の近い国々と手を取り合い、より多くの実質的な提携の機会を探っていきます。
 
我々の将来の路線ははっきりしており、目標は明確です。
第一に、自由民主の旗印の下で国民を引き続き団結させ、国家主権を守っていく。
第二に、台湾を引き続き発展させ、経済力を強化し、豊かな人民と力強い国家を実現する。
第三に、世界に積極的に飛び出し、挑戦を乗り越え、中華民国台湾が国際社会において顔を上げ、胸を張り、勇気と自信を持てるようにする。
 
今年第2四半期における我々の経済成長率は「アジア四小龍」のトップに返り咲きました。世界経済フォーラム(WEF)も、我々を「世界4大スーパーイノベーター」の1つに数えています。我々のハイテクとイノベーション産業は世界の最先端を走っています。我々のスポーツ選手、技能大会の代表選手、創意に満ちた無数のデザイナー、アーティストは世界の舞台で輝きを放ち、台湾に栄誉と誇りをもたらしてくれています。また、台湾が自主開発した地球観測衛星のFORMOSAT-5と気象衛星FORMOSAT-7が打ち上げられ、我々の航空宇宙技術の実力を示しました。人類が初めてブラックホールの撮影に成功したプロジェクトにも台湾の科学チームが参与しています。
 
国慶節のこの日、この土地で暮らす全ての人々はみな自由民主の旗印の下に団結し、未来を楽観し、課題をしっかりと克服していきます。台湾にどうかご加護を、台湾がんばれ、中華民国がんばれ。
 
 

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